先日、長女の妊娠中にやりたかったことが2つ、と書きましたが、残りのもう一つを実行する日が無事にやってきました。

レコーディングです。

妊娠すると良い音が出る!と周りの音楽家仲間は言っていましたが、確かに、今思えばそんな気がする。。。

長女の妊娠中は、そりゃ吹きまくっていた。

出てきたらそれどころではない!という意識もあって。

自分と一緒に、常に聴衆が1人くっついている!という感覚も、新鮮で嬉しかった。

そしてお腹のどっしり感がこれまた良い感じに作用して、体の重心もグッとしっかりしていた気がする。

確かにいい音出てた。

でもそれが妊娠のせいなのか、練習の恩恵なのか…?

そして今回、改めて考える。

お腹の出てきた7ヶ月あたりから、やはり体のバランスが良いような気が…

音もなかなか豊かに響いている気がする。

でも長女の時ほどではない。

…当たり前か。練習量が違いすぎる。

結論。

妊婦が超練習していると、かなり良い音が出る。

…笑

あの時いっちょ録音しておくんだった、と後悔した。

で、そんな程度の結論なのに、あの時ほどではない自分の演奏を、あえて何故、今回わざわざレコーディングするのかというと。

多分、お腹の子に直接私のフルートを聴かせてあげることは、今回は出来ないと思う。

それが分かってから、お腹の中にいる子に、そして久々に、本当に久々に、自分自身のためにフルートを吹いた。

フルートを専門的に勉強するようになってからというもの、フルートを吹くことは「楽しみ」から「練習」に変わり、その目的は課題をこなすためだったり、コンクールに通過することだったり…

学生じゃなくなってからも、仕事のため、そして奏者としてどうにかステップアップしたいという気持ちは、悪くはないけど、かなりガムシャラなものになっていたように思います。

この7ヶ月間近く、そんな気負いが全くなくなり、ただお腹の子と一緒に、自分のために吹いてきたフルート。

精神的な辛さの多くをフルートが癒してくれたように思います。

自分にフルートがあってよかった、と心から思いました。

そんな経緯から、上手い下手ではなく「今の私にしか出来ない演奏」を録っておきたい、と思いました。

どうせ録るなら、プロの奏者として生きているからには、ただの自分の記録用としてではなく、ちゃんとプレスして、実績として残せる、人に手にしてもらえるものになるところまで仕上げたい。

ここからが大変でした。

限られた予算の中で、どこまで納得できるものが作れるか。

全てのことを業者に頼むのか、エンジニアをどうするのか、マイクの設置本数、共演者、どこのホールで録るか、はたまたスタジオか、CDプレス(この配信の時代にCDをプレスするという行為に意味があるのか?というところも含め)、印刷…

全ての理想を叶えるには、宝くじでも当たってくれないと「こりゃ無理でしょう」と何度も思った。

けど、今回はダンナが引かなかった。

絶対に録っとけ!出来る範囲で良いじゃないか、と。

そしてふてくされ、諦めモードの私を残し、色んな人に相談に動き始めた。

多分、彼がいなかったらとっくに流れていたと思う。

他の仕事の締め切りを山のように抱えている中、収録曲のアレンジを徹夜でしてくれました。

ありがとう、ダンナ。

そして今回、最も妥協出来なかったのは共演者。

ありがたいことに、私が最も信頼を置いている4人に快くお引き受けいただきました。

収録曲10曲、全てのピアノを演奏してくれた二戸麻衣子ちゃん。

先日、ご自身のデビューアルバムのレコーディングを終えたばかりで、体力的にも大変だったことと思いますが、終始笑顔で協力してくれました。

午後からはストリングスのメンバー3人も加わってくれました。

バイオリンの大貫聖子ちゃん、ビオラの春木英恵ちゃん、チェロの谷口宏樹くん。

プレイバックを聴いて反省中の5人。。。。

午前11時から録り始め、すべて終了したのは夜8時半。

みんな、ほんとにありがとう!!

いやー、やっぱり録音するってすごーく大変。

1回きりのコンサートなら聴き流せるところも、記録として残り、度々聴かれるものとして残すには許せないってのが山ほど出てくる。

ミスしたくないと思えば思うほどミスしたり。

修正をかけながら再録音したつもりが「あれ?1発目が一番良くないか?」とか。

もう、自分のヘタクソ加減に腹が立ち、そしてヘコむ訳よ(笑)

何度もやるうちに「これ以上、何度やっても無理っス!」みたいな気分になり、悶々としながら終了…

まぁ、1日で10曲も一気に録ろうって計画自体かなり無謀なんだけどね。。。

でも、どんなにやっても満足なんて一生到達し得ない…多分そういうもんなんだと思います。

第1回目をとにかく録ったことに意味がある。ここからステップアップできればそれでいい、とダンナにも諭されました。

さて、ここからすべてのテイクを聞き直し、採用テイクを決めていきます。

音楽の流れのいいものを優先すべきか、多少守りに入っていても傷のないテイクを採用するのか…

またしても、悶々とする日々が続きそうです。。。

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