
映画「小学校 ーそれは小さな社会ー」を観てきました。
「6歳児は世界のどこでも同じようだけれど、
12歳になる頃には、日本の子どもは“日本人”になっている」
これには小学校教育が鍵を握っているのではないか、という監督の思いから撮影された、世田谷区の公立小学校の1年間を追ったドキュメンタリー。
良かった所は、何のナレーションも入らず、ただひたすら、子供達と先生の日常を映し出しているところ。
子供達がとにかくひたむきで、眩しい。
(世田谷区、という土地柄もあるかもしれない。)
先生達も、コロナ禍も相まって超多忙な業務の中、子供達の指導に当たっている。
そう、小学校という場所は学習だけでなく、生活までもを指導しなければならない現場なのだ。そういう意味では、中学高校とは担う業務の質がちょっと違うとも言える。
日本独特とも言える「集団意識」「協調」に重きを置いた教育は世界に誇れるものでもあるが、「諸刃の剣」でもある、と作品中にある専門家の言葉。本当にそうだなぁと思った。
この映画は家族で観に行きたい、と思っていた。みんなの感想が聞きたかったのだ。
息子は映画の中に出てくる、ちょっと高圧的な教師に怯え「明日学校行きたくなくなっちゃったよ」と言った。
娘「こんなに上手くいくばっかじゃないよ。」
旦那「悩みながら、試行錯誤しながら、先生も現場で成長している姿が素晴らしい。こういう先生が増えてほしいよね。」
私は…
「やっぱり小学校の〔根性論〕と〔みんな〕みたいなところ、ちょっと息苦しいなぁ。自分だったら不登校だな」(←実際不登校気味だった人。)
そして娘と同じく「こんなに上手くいくケースばっかじゃないよな」
新一年生を迎える合奏練習でシンバルが上手く叩けない女の子を、先生がみんなの前で叱責するシーンがあるのだが、心の中でツッコミまくり。
「いやいや先生、この前奏、シンコペーションで拍見失なってるだけじゃないの?怒る前にそこのしくみ、まずは教えてやってよ」…笑
(もしかしたら教えた上での、このシーンだったかもしれないけど。。)
最後は上手に叩けて、嬉しくて先生の下に駆け出すのだが。
彼女にとっては、努力の大切さやみんなでひとつのものを作り上げる喜びと責任を学んだ大きな出来事。確実にひとつステップを上っただろうし、大人になってもチクリとした胸の痛みと共に、自分を信じて手をギュッと握ってくれた担任の先生の温もりは大切な思い出になることだろう。
しかし彼女だから、努力できる子だったから昇華できた訳で、現実はそうもいかない子も一定数いるはず。努力は無論大事だが、すればなんでも乗り越えられる、というものでもないし、どんな困難でも努力をもって立ち向かえる人間ばかりではない。
現実として規格外の子たちもいることを忘れてはいけない。
まぁ、興味があったら是非観て見ていただきたい。世代や、人それぞれ受けてきた教育の背景によっても印象が違うのではないかと思う。
上映館がとても少ないのが残念なのですが。
私の行った109シネマズ二子玉川、日曜上映は発売数時間で売り切れました。
横浜シネマリンでは一旦終了したものの、2月に再上映が決まったようです。