5月2日に長女にそっくり!な男の子を出産いたしました。

残念ながら、生きて抱き締めることは出来ませんでしたが、可愛い安らかな顔に出会えたことは、私の一生の宝物となりました。

この子に異常があるかも、と分かったのが昨年10月末。

妊娠3カ月(11週)の時でした。
夫婦で葛藤の末、羊水検査を実施。
18トリソミーという、6000人に1人といわれる染色体異常の結果を受けたのはクリスマスイブでした。

あまりの予後の悪さに1度は中絶の決断をしましたが、土壇場になって出来ず、ありのままの命に任せる決断をしました。

お腹の中で亡くなるか、出産まで持ち越せても陣痛中に亡くなるか、はたまた産まれて数時間~数日、数ヶ月か…非常に低い可能性としては年単位で生きれるか。
多岐にわたる可能性を理解し、覚悟した上で、ただ「とにかく会いたい」という希望を持ちながら妊娠の継続をしてきました。

37週3日。
臨月まで本当によく頑張ってくれました。
とても悲しいけれども、同時に命を見届けられた清々しさも感じています。

辛く長い妊娠期間を見守り支えてくれた友人、いつ何が起こるか分からない状態にも関わらず仕事を与えて下さいました音楽関係者の方々、生徒さん、そして中絶を辞めたことで戻る病院がなくなった私を、ウェルカムの一言で受け入れてくださり、最後まで母子ともに温かな対応をしてくださいました神奈川県立こども医療センターの先生、スタッフの方々には感謝の言葉しかございません。
最後の4ヵ月間の妊娠期間を笑顔で心穏やかに過ごせたのは、「どんな経過になろうとも、何があっても大丈夫」と思わせてくれた、この病院に出会えたお陰です。

こんなに辛い体験は、出来ることならしたくなかった。
しかし、神様がもし、健康な体をもった赤ちゃんと取り替えてあげるよ、と言っても、やはり私はこの子を選びます。
私のお腹の中で10カ月、一緒に泣いて、笑って生きてきた、大事な大事な、可愛い息子です。家族です。
この親子の縁を大切にしたいと思いますし、これから、この子が私のもとに来た意味を模索しながら生きていきたいと思います。

産後、私の体は非常に元気です。
ただ、妊娠中あれだけ精神の拠り所となっていたフルートが、一気に罪悪感に変わり、人生最大期間放置してしまいました。
ダンナにもフルートを辞めたい、と何度も言ってしまいました。
まぁ、そんなこと出来ないのは自分でも分かっているのですが…

これから残りの産休期間でなんとか調子を取り戻していきたいと思います。
そして妊娠中にそうであったように、私を前に向かわせてくれるか…音楽の力を信じたいと思います。

最後に…
出生前診断が世の中的にかなり話題になっている時代です。
私自身に関して言えば、検査に嫌悪感を抱いていた人間の一人であり、まさか自分が受ける立場になるとは思ってもみませんでした。

しかし、実際医師から通常の妊婦検診で異常の可能性があると突然聞かされると、胎児に何が起こっているのか、これから自分がどんな道を辿るのか、一気に先の見えない不安に突き落とされました。
医師に羊水検査を勧められましたが踏み切れず、大学病院にセカンドオピニオンへ。精密検査をするも数値は更に悪くなるばかり。
私の精神状態も更におかしくなりました。
何が起きているのか知るために残された手段は羊水検査のみ。

おそらくあの状態で妊娠を継続していくのは、私も家族も、精神的に相当しんどかったと思います。
そんな中での決断であり、私達夫婦にとっては前に進むために必要なものでした。

受けると決めてから、そして結果が出るまでの長い時間も辛かった。
検査を受けながらも罪悪感で涙が出た。

そんな中でもかなり無神経とも思う言葉を転院前の医師からも度々投げつけられました。
現場にいる人間がこんなことしか言えないのか、とガッカリしましたし、怒りすら覚えました。
そして何より違和感を覚えました。

その度に果たして本当にそうなのか?そうあらなくてはならないのか?という疑問とともに色々なケースを知りたい、とパソコン検索に救いを求めていました。

そんな中で、私達夫婦が選択した道はちょっと珍しいケースかも知れません。

しかし、悩んで悩んで、行ったり来たり、かなり遠回りをしたけれども、誰に遠慮することもなく、見送りまでの全てを自分達の意思のままに進んできた道は「私達にとっては間違っていなかった」と改めて感じていますし、結果、一番自然な形になったと思います。
一見、「何も知らないで妊娠継続したのと何ら変わらない結果になったじゃないか」と言われそうですが、出生前診断を受けていなかったら、おそらくここまで悔いのない道は選択できなかったと思います。
検査にはそういう側面もあるということを知っていただきたい。

そして検査を受けて中絶を選んだ人がいても責めることは全くできない。妊娠を継続した人を賛美するわけでもない。どちらも計り知れない葛藤の中で下した決断であるのですから。当事者にならないと分からないことって本当に沢山あります。100人いれば100通りの意見があっていい。だけど世の中が、勝手な意見を押し付けて、苦しんでいる人を更に苦しませる方向にだけはいってほしくない、と切実に思います。

長文になってしまいごめんなさい。

ブログを見てくださり、心配して下さった皆さん、本当にありがとうございました。
これからも笑顔で楽しい報告が出来るよう、頑張りたいと思います。
温かく応援していただけたら嬉しいです。

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