この夏をもって、一切の学校吹奏楽指導の場を退くことにしました。
音楽大学を卒業して20数年、神奈川県はもとより東京、千葉…各地の多くの学校、生徒さんと楽しい時間を過ごさせていただきました。
本当にありがとうございました。
私も中学時代の吹奏楽部出身者ですが、あれから30年…学校の在り方、部活の形、保護者の意識、いろいろなものが変化したように思います。
部員のほとんどが学校備品で活動していた時代から逆転し、個人持ちが当たり前になり、またそれが非常に高額なものが基本となり。
部費なんてイベントの時くらいに数百円の回収だったものが、定期的に万単位のものになり…
親御さんもそれだけ尽力してくださる分、現場への期待も大きいことでしょう。
もはや入部自体がご家庭を選ぶとも言えるのではないかと思ってしまう部となってしまいました。(もちろんそうではない形を貫いている学校もあると思いますが。)
以前、指導校で仮入部に来ていた子が「経済的に無理」という理由で他の部へ泣く泣く移動した、と聞いて悲しくなったこともありました。色々考えさせられる現場でした。
また、どこの学校も「楽しく合奏しよう」という目的から「年に一度のコンクールで賞をとろう!」というところに変わってきたように思うことも多々ありました。
楽器を始めて数ヶ月の子供達が、基本をそこそこにとんでもなく難しい曲をやっている。
メロディに感動するとか、楽しい、楽しくない、とか、そんな感情は一切持たず…。
「限られた時間の中で子供達をどうにか形にしなくては!」と私の中でいつも緊張感と緊迫感がありました。
これはこどもたちと過ごす楽しみと同時に、若干のストレスともなっていたことも事実です。
短時間で指導が効率良くできるよう、毎回下準備は相当してきたつもりですし、定期的に行ける学校へは個々の課題に合わせて宿題やプリントも課してきました。そういう意味では子供達にとって厳しい先生と映ることもあったと思います。
楽器の練習は、忍耐力、注意深さ、チャレンジ、達成感…色々なことを教えてくれます。
また皆でハーモニーを作ることで、仲間と協調、尊重しあうことの素敵さも自然と感じることでしょう。
そして部活動という名の元においては、どんなご家庭の子にも与えられるものであってほしい。そして楽器に、音楽に触れる時間が、子供達の豊かさに繋がりますように。。。
これは私が吹奏楽部に求める、勝手な願いだったのかなぁと思います。
顧問の先生、楽器講師、子供達、保護者の方…みんなが信頼し合ってひとつのことに向かうことの難しさ、をひしひしと感じています。
まぁ、一言で言えば真面目すぎたというか…私も。(笑)
ということで。
今後はやはりホームベースに帰るというか…笑
個人指導と演奏活動に、より力を注いで行きたいと思っています。
吹奏楽部からそのまま私の教室に来てくれている子、すでに結婚、出産した子も!街で声をかけてくれたり嬉しい関係が続いている生徒もいます。
その子たちの成長を見ることは、私の喜びとなっています。
これまでの20数年、この仕事を与えてくださった各校に感謝いたします。
本当にありがとうございました。